2014年3月4日火曜日

「パタハラ」って何の略?日本はイクメンを増やすことはできるのか~橋爪幸代先生に聞く~


ゼミ研究報告会 橋爪ゼミ発表

「パタハラ」って言葉を聞いたことはありますか?

「パタニティー(父性)・ハラスメント」の略で、 育児休業などの制度を利用しようとした男性に対する嫌がらせを意味します。
 
 先日の読売新聞に、この問題についてのニュースが出ていました。


 記事によると、男性が育児休業を職場に申請しても認めてもらえなかったり、言葉で脅かされてやむなく申請を取り下げるようなことがあるようです。また、「育児休暇」に対する考え方は年代によってかなり違うので、周囲の理解がないことも大きな理由のようです。

 今の若いお父さんは昔に比べて育児に協力的だと聞きます。少し前には「イクメン」という言葉もはやりましたね。また、国をあげて男性の育児参加を支援しているように見えます。

【厚生労働省ホームページへ】イクメンプロジェクト

 しかし男性の育児休暇取得は一向に進みません。「そんなに取得しにくいなら、法律でも作って必ず取得出来るようにすればいいのに」と思ってしまいます。

北欧は男性の育児休暇取得率が高いと言われますが、どうして取得できるのでしょうね。また、日本の状況は世界的にみるとどのくらいの位置なのでしょうか。

そこで、前回のブログで、ファザーリングジャパンの安藤さんをゲスト講師としてお招きくださった橋爪 幸代先生に、質問してみました。

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Q北欧はどうして男性が育児休暇を取得できるんですか?法律でもあるんですか?

A いろいろな理由が重なっていると思うので、これ!という理由をお答えするのは難しいですね。日本にも北欧にも、育児休暇を取得するための法律はあります。たとえば、スウェーデンでは、父親のみが取得できる育児休業期間というのがあり、それが取得を促している側面があるかもしれません。日本にも、パパママ育休プラス制度というのがあり、父親の育休取得を促そうとしていますが、今のところあまり効果が出ていませんね。もう一つ、育児休業の取得でネックになっているのは、休業中の所得保障の問題だと思います。一般的に所得の高い男性が休業することによって家計の収入が減ることを避けようとしているといことが考えられます。育児休業中の保障として、育児休業給付がありますが、日本では給料の50%程度の保障となっています。これを一部引き上げるという案が出されていますよ。
 

Q北欧以外の国だとどうなんですか?

 男性が働き、女性が家事・育児をするという役割分担は、他のヨーロッパ諸国でもみられます。男性の育児休業取得率は、イギリスでは、12%程度、ドイツでは27程度でしょうか。とはいえ、日本の、1.89と比べると、桁は違いますが・・・。

 


Q日本はこれから「イクメン」が増えていくと思いますか?


イクメン予備軍!橋爪ゼミ生
 増えていくと思います。今でも、育児休業を取りたいと考えている男性は相当数いるのです。その妨げになっている一番の理由とされているのが、「職場が制度を取得しにくい雰囲気だったから」とされています。職場の雰囲気は、今後、変わっていくでしょう。社会の状況は変わっていますし、なんといっても、これからの子育て世代は、家庭科が男女必修になった世代です。育児休業を取得したい人は、男性であっても取得することが当たり前になる環境がつくられれば、増えていくだろうと思います。それを後押しするための、制度整備は必要だと思いますし、そもそも日本人は働きすぎなので、育児に限らず、私生活とのバランスのとれた働き方を推進していく必要があると思いますが。。。
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橋爪先生ありがとうございました。
写真真ん中が橋爪先生です。

  橋爪先生は現代法学部では「福祉」の先生です。
 
「福祉」というと皆さんは
「これから高齢化社会だし、重要だよねー」
といちばんに思うのではないか、と思いますが、福祉の分野は「高齢者福祉」だけではなく「障がい者福祉」「児童福祉」など、様々な年代や状況の人への支援を指し多岐にわたります。近年は「災害福祉」という言葉も聞きます。
 
橋爪先生は「社会保障法」が専門で、とりわけ「こどもの福祉」について研究されています。
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法学部にいながら「福祉」についても学ぶことができるなんてちょっとお得な気がしませんか?
 
2015年度から「福祉法プログラム」が始まりますが、新たな科目として橋爪先生が担当する「児童福祉と法」という授業が始まります!乞ご期待!!